なんで東京と横浜でしかやらないんだ。日本の一極集中に毒されていないか。
などとぶつぶつ文句を言いつつも、やっぱり行ってしまいました。
仕事がらみの出張ではない、子供を連れての行楽でもない、
自分ひとりの娯楽(?)が目的で地元以外のところに遠征するのは初めてです。
キャロル・キング&ジェームス・テイラー。
キャロル・キングについては一度行って詳しく書きましたし、
とにかくジェームス・テイラーを観たかったんです。
もっと正確に言うと、バックのメンバーを含めての彼らを観たかった。
ギターにダニー・コーチマー。
ベースにリーランド・スクラー。
ドラムスにラス・カンケル。
これだけ揃うだけで、もう小生あたりには涙ものなんです。
だから引き寄せられるように、土曜日のみなとみらいに
新幹線を飛ばしてしまいました。
三人とも、70年代前半のシンガーソングライターブーム、
後半以降の西海岸サウンドブームを陰で支えていた人たち。
ラス・カンケル。
彼自身も西海岸No1ドラマーでありましたが、最初のリア・カンケル、
そして二人目の故ニコレット・ラーソンと、
奥さん二人が大活躍した女性シンガーでありました。
リー・スクラー。
この連載に登場するのは二度目です。
TOTOの最後のツアーで、負傷したマイク・ポーカロの代役でベースで参加した、
白髪白長髭の孤高の仙人です。
ジェームスのレコードでは必ずバックを勤めていました。
TOTOのときは結構楽しそうにステージ上をウロチョロしていましたが、
今回はほとんど立ちっぱなしで淡々と演奏に集中していた、不動の仙人でした。
ダニー・コーチマー。
ジェームスとキャロルを結びつけたのは他ならぬこの人です。
彼は60年代末にキャロルと一緒に「シティ」というバンドを組み、
その後ジェームスと
「フライングマシーン」を結成します。
この人が居なかったら、70年代前半のシンガーソングライターブームは
なかったかもしれない。
引き合わされた二人は、ロサンゼルスにあるトルバドールという
ライブハウスで始めて共演します。
そのトルバドールの開店50周年を記念して二人が再びライブを行い、
それがきっかけで世界を回っています。
山下達朗師匠じゃないですけれど、武道館はイヤですね。
どうせ仕事でいけなかったのですが。みなとみらいでよかったです。
今日のコンサートは二部構成です、とのアナウンスを聞いて、
いやな予感がしました。
この間のジャクソン・ブラウンとシェリル・クロウのように、
どっちが先か、で悩まなくてはいけなくなる。
誰がジェームスとキャロルの二人に甲乙がつけられるのだろう。
でも始まった途端、そんな不安は吹っ切れました。
二人は手を繋いで仲良く同時に登場してきたのです。
ステージに向かって右手にさっきのバックの三人が陣取り、
キャロルは左手のグランドピアノに。
ジェームスは中央にギターを持って、曲によって立ったり座ったりしました。
最初にジェームスから、我々の長い友情の集大成なんだ、
といったような今回のツアーの趣旨が簡単に説明され、
そのために昔からの仲間を集めたんだ、と、バックの三人を最初に紹介しました。

ほぼ、ジェームスとキャロルの曲が交互に並べられています。
1、Blossom (ジェームス)
70年のSweet Baby Jamesのアルバムの
渋い曲からスタートしました。
二人とも選曲はシンガーソングライターブームの時代を
意識したものになっていたといえるでしょう。
So Far Away、Way Over Yonder、
Smackwater Jack、 Sweet Seasons、
あたりの曲は前回の
キャロル・キングのライブのリポートを参照してくださいね
(えらい手抜き、だってジェームスのことは一回取り上げる機会が
ありそうだったのに結局話題がそれちゃったんだもん)。
11曲目の”Beautiful”は前回は出てきませんでしたが
名盤『つづれ織り』からのセレクションです。
3.Machine Gun Kelly (ジェームス)
71年の Mud Slide Slim and Blue Horizonから、
またシングルになっていない渋い曲。
4.Carolina In My Mind (ジェームス)
68年のセルフタイトルのデビューアルバムからの曲で、
ベスト盤には必ず選曲されます。彼の故郷への慕情。
7.Country Road (ジェームス)
Sweet Babyから。
この曲のイントロとサビに出てくる同じフレーズは、
アコースティックギター教則本の定番になっています。
9.Mexico(ジェームス)
ブームも一段落してややと快適なサウンドを追及するようになった
75年の『ゴリラ』から。
「メキシコにはいまだに行ったことはないんだけどね。
なぜか想像で曲を書いちゃったんだよ」とのMCから始まりました。
10曲目は実際はメドレーで2曲からなっています。
キャロルが「二人は偶然にほぼ同じ時期に、
ずっと前の時代、をテーマに曲を書いていて、
しかも同じような進行だから、一緒にやっちゃうわ」といって、
キャロルのSong of Long Agoと
ジェームスのMud Slide Slim からのヒット曲
Long Ago and Far Awayが、
メドレーというより掛け合いで演奏されました。
今回ならではの企画で、鳥肌が立ちました。
全く興ざめですが、清水ミチコさんのネタで、
ピアノで右手で水戸黄門のテーマ、
左手で銭形平次のテーマを同時に演奏したらピッタリ合ってしまう 、
そんな感じでした。
13.Shower The People (ジェームス)
ますます都会的になってきた76年の
In the Pocketからのヒット曲で、
小生はリアルタイムで聞いていましたからすごく好きな曲です。
そして前回見たキャロルのコンサートみたいに、
14.(You Make Me Feel Like)
A Natural Woman を、聴衆も一緒に合唱して幕入りになりました。
二幕目。
一幕目は二人とも黒っぽいスーツを着ていたのですが、
暑くなってきたのか、ジェームスは黒シャツ、キャロルも深緑の薄着で、
やはり手を繋いで再登場しました。
挨拶は特になく、ジェームスが「これも僕の故郷、
ノースキャロライナの思い出を歌った曲なんだ」というMCから、
91年、今回の選曲では新しい New Moon Shineのアルバム
Copperline(15) から始まりました。
次はキャロルもピアノから離れてジェームスに寄り添うようにすわり、
ジェームスは「これはエヴァリー・ブラザーズのヒット曲で
よく知っていたんだけれど、アート・ガーファンクルのアルバムに入れるために
デュエットで録音したとき、初めてキャロルが作った曲だって知ったんだ」と
エピソードが披露されCrying In The Rainが
二人のハーモニーで再現されました。
キャロルの曲、Chains、 Will You Love Me Tomorrow、
It’s Too Late、 I Feel The Earth Moveあたりは
また上掲のコラムを参照してください。
19曲目のJazzman前回は演奏されませんでした。
75年、やはりキャロルも都会的なサウンドになってきたころのヒット曲で、
アル・スチュアートを髣髴とさせる曲です。
18.Sweet Baby James (ジェームス)
既に何度か出てきた同名アルバムの曲で
「同じ名前の甥っ子の子守唄にするために書いたんだ。
ここのみんなは眠くならないことを祈るよ」と笑いを取りました。
21.Steamroller Blues (ジェームス)
これはブルースのカバー曲で、やはり Sweet Babyで最初に録音されて、
最初のベスト盤ではライブバージョンが収録されました。
23.Fire And Rain (ジェームス)
そろそろオーラスで、大ヒット曲が出てきました。
やっぱりSweet Babyからの、
シンガーソングライターブームの嚆矢になったような曲。
そしてやっぱり最後は
25.You’ve Got A Friend
やっぱりこれですね。
キャロルが書いてジェームスがMud Slide Slimから
シングルカットして大ヒットさせた。
これをデュエットで、誰もが想像できた光景だったと思います。
これをやってとりあえずみんなのお目当ては果たせただろう、ということで
二人とも手を振ってバックに引っ込みますが、
鳴り止まぬアンコールを求める拍手。
再登場して、二人は寄り添うように、
ジェームスのギターに合わせてハーモニーを聞かせてくれました。
26. Up On The Roof
キャロルが書いて、前回のキャロルのコンサートでも取り上げられ、
ドリフターズ(しつこいようですが「全員集合」のあれではありませんよ)
のヒット曲ですが、ジェームスも79年のFlagでカバーしている、
二人とも録音している曲ですね。
27. You Can Close Your Eyes
これは武道館ではやらなかったようです。
Mud Slide Slimに収録されていて、
ライブではよく取り上げられる、しっとりとしたバラード。
そして二人とも立ち上がり、聴衆にも立ち上がって、と要求します
28. How Sweet It Is (To Be Loved By You)
ジェームスが『ゴリラ』でカバーしたマーヴィン・ゲイの曲。
二人も、聴衆も、一緒に歌って踊らにゃソンソン。そして
29. Locomotion
意外にもジェームスがソロで歌う部分が長かったです。
彼も実は好きなんでしょうね。
キャロルは最前列の人たちとハイタッチの波を作って、
バックの人たちと肩を組んで一列で一礼、本当に終わってしまいました。
いやあ、よかった。お察しのとおり、
結局ジェームス・テイラーを観にいったようなものですが、
バックメンバーも含めて大満足です。新幹線を飛ばした甲斐があった。
それにしても、東京はいいなあ。
ビルボードライブなんか、毎週一回は通いたいくらいのラインアップをやってる。
そちらの地方の皆さんは、一極集中の有難みを感じてください。